北海道札幌市で音楽と芸術に囲まれて育った宮尾俊太郎は、14歳でバレエに出会い、フランス留学を経てKバレエカンパニーのプリンシパルとして活躍してきました。
舞台での存在感はもちろん、映像作品やテレビ、ミュージカル、さらには演出・振付の分野にまで活動の幅を広げ、表現者としての新たな地平を切り拓いています。 その歩みをたどることで、彼がなぜ多くの人々を惹きつけるのかが見えてきます。
【この記事のポイント】
- 宮尾俊太郎が芸術一家に育ち、バレエと出会った原点
- フランス留学とKバレエカンパニーでの昇格の過程
- 映像・テレビ・ミュージカルなど多分野での活動内容
- 芸術監督・振付家としての現在の取り組みと展望
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宮尾俊太郎の現在までの歩みを辿る
北海道で育った芸術一家の背景
宮尾俊太郎は北海道札幌市で生まれ、音楽と芸術に囲まれた家庭で育ちました。父親は高校の音楽教師であり、バイオリンの指導も行っていた人物です。母親はピアノ教師として活動しており、自宅にはグランドピアノが置かれていたほど、音楽が日常に溶け込んだ環境でした。
幼少期にはクラシック音楽を耳にする機会が多く、特にバイオリンの名演奏を聴きながら過ごす時間が豊富でした。3歳からは自身もバイオリンを習い始め、音楽への関心を自然と育んでいきます。中学時代には美術部に所属し、絵画にも親しむなど、芸術全般に対する感性を磨いていきました。
父親は芸術の厳しさを知る立場から、息子がバレエの道を志す際には「夢だけでは通用しない」と厳しく接したとされています。援助を控え、自らの力で道を切り開くよう促したことで、宮尾俊太郎は自立心を持ってバレエに向き合うようになります。
14歳でバレエを始めた後、講習会での出会いをきっかけにフランス留学の道が開かれました。家族はその挑戦を前向きに受け止め、芸術の道を進む背中を押しました。こうした家庭の姿勢と環境が、後の表現者としての土台を築く重要な要素となっています。
バレエとの出会いとフランス留学

宮尾俊太郎がバレエに出会ったのは14歳のときでした。札幌で暮らしていた彼は、テレビCMで熊川哲也の踊る姿を目にし、力強く跳び回る男性バレエの世界に衝撃を受けます。それまで抱いていた「女性がチュチュを着て踊るもの」という固定観念が一変し、自らもその舞台に立ちたいという思いが芽生えました。
札幌舞踊会でバレエを始めた彼は、周囲よりも遅いスタートながら、猛練習を重ねて技術を磨いていきます。やがて、日本で開催された講習会で、パリ・オペラ座バレエ団の元エトワールであるモニク・ルディエールと出会い、彼女の誘いを受けてフランス・カンヌのロゼラ・ハイタワー・バレエ学校へ留学することになります。
17歳で単身渡仏した宮尾は、言葉も文化も異なる環境の中で、2年半にわたりバレエ漬けの日々を送りました。授業ではフランス流の繊細な足さばきや、音楽との呼吸の合わせ方など、身体表現の奥深さを学びます。卒業公演ではカンヌ映画祭の会場として知られるリュミエール劇場で『ドン・キホーテ』の主役バジルを踊り、舞台に立つ喜びを実感しました。
留学後はヨーロッパ各地でバレエ団への就職活動を行いましたが、思うような結果は得られず、日本に帰国してアルバイト生活を送ることになります。そんな中、札幌の飲食店で熊川哲也が打ち上げをしていたという話を耳にし、「自分もそちら側にいたかった」と強く思い直し、再びバレエの道へ戻る決意を固めました。
この経験は、舞台芸術への覚悟と情熱を再確認するきっかけとなり、後にKバレエカンパニーへの入団へとつながっていきます。異文化の中で過ごした時間は、技術だけでなく、表現者としての視野を広げる貴重な財産となりました。
Kバレエカンパニーでの昇格の軌跡
宮尾俊太郎は20歳のときにKバレエカンパニーへ入団しました。熊川哲也が率いるこのカンパニーは、日本のバレエ界でも屈指の実力派集団として知られており、入団直後から厳しい指導のもとで鍛えられる日々が始まります。熊川から直接指導を受ける機会も多く、毎日の稽古には強い覚悟が必要だったと語られています。
入団から3年目には主役を任されるようになり、2007年にはソリスト、2009年にはファースト・ソリスト、2012年にはプリンシパル・ソリスト、そして2015年12月にはプリンシパルへと昇格しました。これはバレエ団における最高位のダンサーであり、技術だけでなく作品全体を牽引する表現力が求められる立場です。
昇格後は『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』『ジゼル』『ロミオとジュリエット』『カルメン』など、物語性の強い演目で主演を務めてきました。王子役や恋人役など、感情の起伏が大きい役柄を通じて、観客の心に残る舞台を築いています。特に『白鳥の湖』では、世界的バレリーナとの共演も果たし、繊細なサポート技術と優雅な佇まいが高く評価されました。
舞台に立つことは常にプレッシャーとの戦いでもあり、幕が降りた瞬間から厳しいフィードバックが始まることもありました。それでも、そうした環境の中で自らを高め続ける姿勢が、現在の地位につながっています。努力と追求を重ねることで、作品の解釈力やチームワークの重要性を深く理解し、バレエ団の中心的存在として活躍するようになりました。
プリンシパルとしての活躍と転機

宮尾俊太郎は2015年にKバレエカンパニーのプリンシパルに昇格して以来、10年以上にわたり主要演目の主演を務めてきました。『白鳥の湖』『ジゼル』『ドン・キホーテ』『カルメン』『ロミオとジュリエット』など、物語性の強い作品で王子役や恋人役を演じ、舞台上での存在感を確かなものにしています。
長身と均整の取れた体格、そして繊細な動きが舞台映えすることから、女性ダンサーとのパートナーリングにおいても高い評価を受けてきました。世界的バレリーナとの共演も多く、サポート技術の高さが際立つ場面では、観客の視線を自然と引きつける力を発揮しています。
舞台での活躍はバレエファンの枠を超えて広く知られるようになり、テレビや映画、ミュージカルなど他分野への出演にもつながりました。TBSドラマ『ヤマトナデシコ七変化』での連続ドラマ初出演を皮切りに、『IQ246』『下町ロケット』『私の家政夫ナギサさん』などで印象的な役柄を演じています。また、情報番組『アナザースカイ』では司会を務め、落ち着いた語り口と知的な雰囲気が視聴者に親しまれました。
映画では『吾郎の新世界』で主演を務め、ロンドンフィルムメーカー国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞したことも話題となりました。バレエで培った身体表現と感情のコントロールが、映像作品でも生かされています。
こうした多方面での活動は、バレエという枠にとらわれない表現者としての可能性を広げる転機となりました。舞台芸術の第一線で活躍しながら、映像や言葉を通じて人々に感動を届ける姿勢は、今後の活動にも深く根ざしています。
自主ユニット「Ballet Gents」の結成
宮尾俊太郎は2014年3月、自らが座長を務める男性バレエダンサーによるユニット「Ballet Gents(バレエジェンツ)」を結成しました。このユニットは、Kバレエカンパニーの設立15周年を記念して立ち上げられたもので、クラシックバレエの枠を超えた自由な表現を目指すグループとして活動を開始しました。
メンバーは宮尾俊太郎を中心に、杉野慧、益子倭、篠宮佑一、栗山廉ら実力派の男性ダンサーで構成されており、それぞれが企画や演出にも関わるスタイルで作品づくりを行っています。舞台では、男性ならではの力強さと繊細さを融合させたダイナミックなパフォーマンスが特徴で、クラシック作品の再構築やオリジナル演目の創作にも積極的に取り組んでいます。
活動の場は劇場にとどまらず、ホテルでのディナーショーやオーケストラとの共演、テレビ番組でのパフォーマンスなど多岐にわたります。2014年の東急ジルベスターコンサートではカウントダウンの舞台を飾り、全国中継でその存在感を示しました。また、愛媛県の内子座での地方公演や札幌での自主公演など、地域に根ざした活動も展開しています。
振付や演出にも宮尾自身が深く関わっており、2015年の『Five Jewels』や2016年の『La Festa』など、ユニット名義での作品も多数発表されています。これらの作品は、バレエの技術だけでなく、舞台芸術としての完成度を追求した構成となっており、観客に新しい視点でバレエを楽しんでもらうことを目的としています。
「Ballet Gents」は、バレエの裾野を広げる活動として、若い世代やバレエに馴染みのない層にも舞台芸術の魅力を届ける役割を果たしています。メンバー同士の信頼と創造力が融合したこのユニットは、今後も新たな挑戦を続けていくと見られています。
芸術監督としての活動と舞台演出

宮尾俊太郎は2025年9月よりK-BALLET TOKYOの芸術監督に就任し、舞台作品の構成や演出に本格的に携わるようになりました。これまでに培ってきたダンサーとしての経験をもとに、作品全体の流れや空間の使い方、照明や音楽との調和など、舞台芸術の総合的な演出に取り組んでいます。
振付家としても活動しており、2015年の『Five Jewels』を皮切りに、『La Festa』『Piano Concerto Edvard』『運命 FATE』など、複数の作品を手がけています。これらの作品では、クラシック音楽との融合や映像演出を取り入れた構成が特徴で、観客の視点に立った演出が随所に見られます。
特に『Piano Concerto Edvard』では、エドヴァルド・グリーグの音楽を軸に、情景の移り変わりをダンサーの動きで表現する構成が印象的です。また、2020年にはBunkamuraのチャレンジ映像作品『運命 FATE』で演出・振付を担当し、コロナ禍における舞台芸術の新たな可能性を示しました。
演劇やミュージカルとの融合にも積極的で、2025年には『パリの炎』の全幕演出・振付を担当。クラシックバレエの技術をベースにしながらも、物語性や演技力を重視した演出が施されており、舞台芸術の枠を広げる試みが続いています。
演者としての視点を持つ宮尾は、舞台に立つダンサーの動きや感情の流れを細やかに捉え、観客にとって自然で心地よい舞台空間を構築することを重視しています。演出家としての活動は、バレエ界に新たな風を吹き込む存在として注目されています。
舞台裏での創作活動と振付への挑戦
宮尾俊太郎は振付家としての活動を本格化させ、舞台裏での創作に力を注いでいます。2019年にはKバレエカンパニーの常任振付に就任し、団のレパートリーとして新作を提供する立場となりました。これにより、舞台上で踊るだけでなく、作品の構成や演出に深く関わるようになっています。
代表的な振付作品には『Piano Concerto Edvard』や『運命 FATE』などがあり、クラシック音楽との融合を意識した構成が特徴です。『運命 FATE』はBunkamuraのチャレンジ映像作品として制作され、映像と舞踊の新たな関係性を模索する試みとなりました。舞台芸術の枠を広げる挑戦として、注目を集めた作品です。
若手ダンサーへの指導にも積極的で、稽古場では技術だけでなく、作品の背景や感情の流れを丁寧に伝える姿が見られます。自身が受けてきた厳しい指導を糧に、次世代の表現者を育てることにも力を入れています。振付においては、動きの美しさだけでなく、物語性や空間の使い方にもこだわり、観客が自然に物語に引き込まれるような構成を心がけています。
また、演出と振付を兼ねる作品では、照明や衣装、舞台美術との連携も重視しており、総合的な舞台づくりに取り組んでいます。2025年には『パリの炎』の全幕演出・振付を担当し、クラシックバレエの技術と現代的な演出を融合させた舞台を創り上げました。
舞台裏での創作活動は、宮尾俊太郎にとって表現者としての新たなフェーズであり、踊るだけではない芸術的な視点を持った活動が広がりを見せています。今後も振付家としての作品が増えていくことが期待されており、舞台芸術の進化に寄与する存在として注目されています。
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宮尾俊太郎の現在の出演作と役柄
NHK大河ドラマ『べらぼう』での初出演

2025年放送のNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で、宮尾俊太郎は初の大河ドラマ出演を果たしました。物語は江戸時代中期、出版文化の隆盛期を舞台に、蔦屋重三郎を主人公として描かれています。横浜流星が蔦重を演じ、喜多川歌麿や葛飾北斎などの浮世絵師たちとの関わりを通じて、江戸のメディア産業の原点を探る作品です。
宮尾俊太郎が演じるのは、田沼意次の甥である田沼意致(たぬま・おきむね)という人物です。意致は10代将軍・徳川家治の嫡男・家基に仕える西の丸目付として登場し、のちに一橋家の家老となる役柄です。田沼家と一橋家をつなぐ重要な立場にあり、将軍継承に関わる政治的な動きの中で、冷静かつ品格ある振る舞いが求められる役どころです。
第13回「お江戸揺るがす座頭金」から登場し、江戸城内で起きる借金問題や座頭金の実情を巡る展開の中で、意次の命を受けて動く存在として描かれています。宮尾の演技は、舞台で培った身体表現と落ち着いた語り口が融合し、時代劇の中でも自然な存在感を放っています。
これまで舞台や映像作品で培ってきた経験が、時代劇という新たなジャンルでも生かされており、視聴者からは知的で品のある人物像として受け止められています。大河ドラマという長期シリーズの中で、今後どのような展開を見せるかにも注目が集まっています。
村上春樹原作舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』出演
宮尾俊太郎は、2026年に上演された舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で“影”の役を演じました。この作品は村上春樹の長編小説を原作とし、幻想と現実が並行して描かれる二重構造の物語です。演出と振付はフィリップ・ドゥクフレが手がけ、ダンスやサーカスの要素を取り入れた独創的な舞台として注目を集めました。
物語の中で“影”は、高い壁に囲まれた街にやって来た“僕”から切り離された存在として登場します。影は街の外へ脱出する方法を探りながら、僕に地図の作成を依頼するなど、物語の核心に関わる重要な役割を担っています。宮尾はこの役を通じて、言葉だけでは表現しきれない感情や葛藤を、身体の動きや空間の使い方によって繊細に描き出しました。
舞台は東京芸術劇場プレイハウスを皮切りに、宮城・愛知・兵庫・福岡と全国ツアーが行われ、多くの観客に村上春樹の世界観を届けました。藤原竜也が“私”役を演じる一方で、宮尾の“影”は静かで深い存在感を放ち、観客の記憶に残る演技となりました。
この作品では、ダンサーとしての経験が演技に生かされており、台詞の少ない役柄でありながら、動きの一つひとつに意味を込めた表現が高く評価されています。幻想的な舞台美術と音楽の中で、影の孤独や希望を体現する姿は、舞台芸術の可能性を広げる挑戦でもありました。
バレエ作品での代表的な主演演目

宮尾俊太郎はKバレエカンパニーのプリンシパルとして、数々のクラシックバレエ作品で主演を務めてきました。代表的な演目には『ロミオとジュリエット』『カルメン』『シンデレラ』があり、それぞれの作品で異なる人物像を身体表現によって描き出しています。
『ロミオとジュリエット』では、若く情熱的なロミオを演じ、恋に落ちていく過程や悲劇的な結末までを繊細に表現しています。特にバルコニーのシーンでは、振付に込められた感情の流れを丁寧に追いながら、若者の初々しさと衝動を踊りに乗せています。終盤の死の場面では、セリフのないバレエだからこそ、音楽と身体の動きだけで感情を伝える難しさと深さが際立ちます。
『カルメン』では、情熱的で自由奔放な女性に翻弄されるドン・ホセ役を演じ、内面の葛藤や破滅への道筋を力強く描いています。この作品では、スペイン的なリズムや情熱的な振付が多く、宮尾の長身としなやかな動きが舞台に映える構成となっています。
『シンデレラ』では王子役を務め、優雅さと誠実さを兼ね備えた人物像を表現しています。シンデレラとの出会いから舞踏会での再会、そしてガラスの靴による運命の導きまで、物語の流れを踊りで語る構成が特徴です。手の動きや視線の使い方など、細部にまで気を配った演技が作品の完成度を高めています。
これらの作品では、踊りの技術だけでなく、物語の中で人物が抱える感情や関係性を舞台上で表現する力が求められます。宮尾俊太郎はその点において、観客の心に残る演技を重ねてきました。舞台上での存在感と物語への没入力が、彼の主演作を印象深いものにしています。
ミュージカルでの歌唱を伴う役柄
宮尾俊太郎は、クラシックバレエで培った身体表現を活かしながら、ミュージカル作品にも出演しています。特に印象的なのが、舞台『エリザベート』で演じたルイジ・ルキーニ役です。この役は、物語全体の語り手であり、狂言回しとして登場する重要な人物です。
ルキーニは、オーストリア皇妃エリザベートを暗殺した実在の人物であり、舞台では彼の視点から物語が進行します。狂気とユーモアを併せ持つ複雑なキャラクターで、観客を物語の世界へ引き込む役割を担っています。宮尾はこの役を通じて、歌唱力と演技力の両面で新たな挑戦を見せました。
歌唱では、語りかけるようなセリフ調の楽曲から、テンポの速いナンバーまで幅広くこなし、声の抑揚やリズム感を巧みに操っています。特に「キッチュ」などの楽曲では、皮肉と風刺を込めた歌詞を軽快に歌い上げ、観客の笑いと緊張感を同時に引き出す演技が光ります。
身体表現においても、バレエで培った動きの滑らかさや空間の使い方が随所に活かされており、舞台上での立ち居振る舞いに説得力があります。ルキーニの不安定な精神状態や、観客を挑発するような態度を、細かな動作や視線の使い方で表現し、舞台全体の空気を操るような存在感を放っています。
この作品での宮尾の演技は、バレエとミュージカルの融合を体現するものであり、ジャンルを超えた表現者としての可能性を広げる一歩となりました。今後も歌唱を伴う舞台での活躍が期待される存在です。
映画『吾郎の新世界』での主演と評価

宮尾俊太郎は、映画『吾郎の新世界』で主人公・吾郎役を演じました。この作品は、山奥の村でマタギとして生きる青年が、ある出来事をきっかけに不思議な世界へ迷い込むという物語です。伝統的な狩猟文化と神秘的な自然信仰が交錯する中で、主人公の内面の変化が静かに描かれています。
吾郎は寡黙で真面目な鉄砲撃ちとして、師匠や仲間とともに山の女神を敬いながら狩りを行っています。恋人の由恵との結婚を真剣に考えるほど、穏やかな日々を送っていましたが、突然の悲劇によって心が深く揺さぶられます。失意の中で山に入り、現実とは異なる世界に迷い込む展開は、幻想と現実の境界を曖昧にしながら進行します。
宮尾の演技は、言葉数の少ない役柄でありながら、表情や動きによって感情の揺れを丁寧に表現しています。舞台で培った身体表現が映像の中でも生かされており、静かな場面でも観客の視線を引きつける力があります。特に、自然の中で孤独と向き合う場面では、風景と一体化するような存在感が印象的です。
この作品は35分の短編映画ながら、濃密な世界観と繊細な心理描写が特徴で、観る者に余韻を残す構成となっています。監督は内藤隆嗣が務め、橋本マナミやブラザートムらが出演しています。宮尾俊太郎にとっては、映像作品での主演という新たな挑戦であり、俳優としての表現力を広げるきっかけとなった作品です。
テレビ番組での司会やバラエティ出演
宮尾俊太郎は、舞台や映像作品に加えて、テレビ番組にも幅広く出演しています。バラエティ番組では、俳句や色鉛筆などの芸術的な査定企画に登場し、表現者としての感性を発揮する場面が多く見られます。特に『プレバト!!』では、俳句査定で高評価を受けることもあり、言葉選びの繊細さや構成力が視聴者の印象に残っています。
情報番組では、舞台作品の紹介や芸術活動の裏側を語るゲストとして出演することがあり、落ち着いた語り口と丁寧な説明が番組の雰囲気を引き締めています。『アカデミーナイトG』では、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の出演に関連して登場し、作品の魅力や演技への向き合い方を語る姿が放送されました。
また、ドキュメンタリー番組『解放区』では、バレエ作品『白鳥の湖』に込めた思いや舞台裏の様子が紹介され、ナレーションやインタビューを通じて、芸術への真摯な姿勢が伝わる内容となっています。こうした番組では、舞台とは異なる空気の中でも自然体で話す姿が印象的で、知的で誠実な人物像として視聴者に受け入れられています。
司会やナレーションを担当する場面では、声のトーンや間の取り方に工夫が見られ、番組の進行役としての安定感があります。舞台で培った表現力が、言葉や視線の使い方にも反映されており、テレビというメディアでもその魅力が発揮されています。
多方面での活動は、芸術家としての枠を超えた存在感を示しており、今後もテレビを通じて新たな表現の場を広げていくことが期待されています。
TBSドラマ『フェイクマミー』での野添達也役

宮尾俊太郎は、2025年10月期のTBS金曜ドラマ『フェイクマミー』で野添達也役を演じています。舞台は名門私立・柳和学園小学校。野添はこの学園で学年主任を務める教師であり、校内の規律と秩序を守る立場にあります。教育方針に厳格で、同僚教師の佐々木智也に対しても監督的な立場で接する役柄です。
野添は、学園の伝統を重んじる校長・樫村謙一郎の方針に忠実でありながらも、現代の教育現場における葛藤を内に抱えています。保護者組織「柳和会」が強い影響力を持つ中で、教師としての信念と組織の圧力の間で揺れる姿が描かれています。こうした複雑な立場にある人物像を、宮尾は舞台経験に裏打ちされた身体表現と落ち着いた演技で表現しています。
ドラマは、波瑠と川栄李奈が演じる正反対の女性が“フェイクマミー(ニセママ)”契約を結び、子どもの受験を通じて成長していく物語です。野添はその教育現場の中で、子どもたちの指導だけでなく、保護者や同僚との関係性にも影響を与える存在として登場します。
宮尾の演じる野添は、言葉数の少ない場面でも視線や姿勢で感情を伝える演技が印象的で、ドラマの緊張感を支える役割を果たしています。舞台で培った表現力が、映像作品の中でも自然に活かされており、教育現場のリアリティと人間関係の機微を丁寧に描いています。
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宮尾俊太郎の現在に至る活動の要点整理
- 北海道札幌市で芸術的な家庭に育った
- 14歳でバレエに出会い本格的に始めた
- フランス留学でクラシックバレエを学んだ
- Kバレエカンパニーに入団し昇格を重ねた
- プリンシパルとして10年以上舞台で活躍
- 『白鳥の湖』など物語性の強い演目で主演
- 自主ユニット「Ballet Gents」を結成し活動
- 芸術監督として演出や振付に取り組んでいる
- 若手ダンサーへの指導にも力を入れている
- 映像作品『吾郎の新世界』で主演を務めた
- NHK大河ドラマ『べらぼう』で時代劇に挑戦
- 村上春樹原作舞台で“影”役を身体で表現した
- ミュージカル『エリザベート』で歌唱に挑戦
- バラエティ番組で俳句やナレーションも担当
- TBSドラマ『フェイクマミー』で教師役を演じた
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