俳優としてどんな歩みを重ねてきたのか、今どんな作品に出演しているのか、高良健吾の現在地が気になっているなら、この記事がきっと役に立ちます。高良健吾は、静かな演技で人物の深層を描くことに定評があり、映画やドラマでの役柄を通じて、観る人の記憶に残る存在感を放っています。最近では『海辺へ行く道』や『レイニーブルー』など話題作への出演が続き、演技の幅や表現力に改めて注目が集まっています。高良健吾の過去から現在までを丁寧にたどることで、作品の背景や人物像がより深く見えてきます。
【この記事のポイント】
- 映画『海辺へ行く道』での役柄と演技の特徴
- 高良健吾の近年の出演傾向と注目作品
- 熊本市との関わりや復興支援活動の内容
- SNSを持たない発信スタイルとメディアでの姿勢
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高良健吾の出演作から読み解く2025年
映画『海辺へ行く道』での役柄とは
高良健吾が演じるのは「高岡」という名の男性で、瀬戸内海沿いの街を移動しながら包丁を販売する実演販売員です。彼は長いつばのサンバイザーをかぶった女性と共に登場し、街の住人たちと関わりながら物語に静かに溶け込んでいきます。登場シーンでは、商品を手にした動作や言葉の選び方に独特の間があり、演技の中に生活感と不思議な余白が漂っています。
この作品は、子どもたちの創作活動と、秘密を抱えた大人たちの奇妙な日常が交錯する群像劇です。高良健吾の役柄は、物語の中心に立つわけではありませんが、街の空気を揺らす存在として印象的に描かれています。彼の演じる高岡は、何かを売るという行為を通じて、他者との距離を測り、関係性を築いていく人物です。言葉数は少なく、表情も控えめながら、視線の動きや立ち居振る舞いに、過去を背負った人物の静かな重みがにじみ出ています。
この映画では、登場人物たちがそれぞれの立場で「何かを作る」「何かを伝える」ことに向き合っています。高岡もまた、道具を売るという行為の中で、他者の創作や生活に寄り添う役割を担っています。高良健吾の演技は、そうした背景を踏まえながら、過剰な説明を避け、観る者に余韻を残す形で人物像を立ち上げています。
物語の中で高岡が何を語り、何を黙っているのか。その静けさが、街のざわめきや子どもたちの奔放さと対照をなし、作品全体に深みを与えています。高良健吾は、実演販売員というユニークな役柄を通じて、日常の中に潜む物語性を丁寧に掬い上げています。
ベルリン映画祭での評価と反響

『海辺へ行く道』は、第75回ベルリン国際映画祭のジェネレーション部門に正式出品され、スペシャルメンション(審査員特別表彰)を受けています。この部門は、子どもを主人公とした作品を対象としており、本作も中学生の少年を中心に据えた群像劇として選出されました。
上映後には、観客から温かな拍手と笑い声が響き、作品に込められたユーモアと優しさが会場全体に広がりました。審査員からは、想像力と創造力に満ちた映像表現が高く評価され、芸術の可能性や予期せぬ出会いの喜びを思い出させてくれる作品として紹介されています。
高良健吾が演じる実演販売員・高岡は、物語の中で直接的な主役ではないものの、街に現れることで登場人物たちの関係性に揺らぎをもたらす存在です。彼の演技は、過剰な感情表現を避けながらも、視線や動作に深みを持たせており、観客の記憶に残る印象を与えています。ベルリンの観客からも、彼の静かな存在感に対する反応は好意的で、作品全体の空気を支える重要な要素として受け止められています。
映画祭での評価は、作品の完成度だけでなく、俳優陣の演技や演出の細やかさにも及んでおり、特に高良健吾のように抑制された演技を通じて物語の余白を感じさせる表現は、国際的な舞台でも確かな手応えを得ています。
横浜聡子監督との関係性
高良健吾と横浜聡子監督の関係は、2009年公開の映画『ウルトラミラクルラブストーリー』での共演から始まっています。この作品では、青森を舞台にした奇想天外な物語の中で、高良は主人公の親友役を演じ、横浜監督の独特な演出世界に触れています。以降、長い年月を経て再びタッグを組んだのが『海辺へ行く道』です。
横浜監督は、日常の中に潜む違和感やユーモアをすくい取る感性に優れ、登場人物の「余白」を大切にする演出を得意としています。高良健吾は、今回の撮影においてもそのスタイルに身を委ね、台詞の間や表情の揺らぎを自ら探りながら演じています。監督からは「エセ関西弁でいい」と言われるなど、細部の演技を任される場面もあり、信頼関係の深さがうかがえます。
横浜監督の作品は、ジャンルにとらわれない自由な発想と、登場人物の存在そのものを肯定するような温かさが特徴です。高良健吾は、そうした世界観の中で、役として自然に溶け込むことを大切にしており、今回の『海辺へ行く道』でも、街に現れる実演販売員という役柄を通じて、物語に静かな波紋を広げています。
二人の協働は、演出と演技の境界を越えて、作品全体の空気感を形づくる力を持っています。高良健吾が語る「もはや作るジャンルが横浜聡子」という言葉には、監督の世界観に対する深い敬意と、そこに参加できる喜びが込められています。
共演者との舞台挨拶エピソード

映画『海辺へ行く道』の公開を記念して行われた舞台挨拶では、出演者たちの表情や言葉から、撮影現場の温かな雰囲気が伝わってきました。高良健吾は、実演販売員・高岡という役柄について紹介された際、観客から笑いが起きたことに触れ、「役の紹介で笑っていただくのは初めてかもしれない」と笑顔を見せています。演じた人物のユニークさが、会場の空気を和ませるきっかけとなっていました。
この舞台挨拶には、原田琥之佑、唐田えりか、坂井真紀、宮藤官九郎など多くの共演者が登壇し、それぞれが撮影中の思い出や役作りについて語っています。高良は、関西弁のセリフについて「エセでいい」と監督から言われたことを明かし、自分なりの言葉のリズムで演じることができたと振り返っています。アドリブが採用されたシーンもあり、現場では笑いが絶えず、自然なやり取りの中で演技が生まれていた様子がうかがえます。
共演者たちとの関係も良好で、舞台挨拶では互いの演技や個性に対する敬意が感じられる場面が多く見られました。唐田えりかは監督の世界観に共鳴したことを語り、菅原小春は自身の役柄に新たな挑戦を感じたと話しています。宮藤官九郎は、監督からの細かな演出指示に戸惑いながらも楽しんでいた様子をユーモラスに語り、会場を笑わせました。
高良健吾の存在は、そうした共演者たちの中でも静かに場を支えるような立ち位置にあり、舞台挨拶でも控えめながらも誠実な言葉で作品への思いを伝えていました。撮影から公開までの時間を経て、再び顔を合わせた出演者たちの姿には、作品を通じて育まれた信頼と絆が感じられます。
近年の出演作一覧と傾向
高良健吾が近年出演した作品には、『罪の声』(2020年)、『あのこは貴族』(2021年)、『レイニーブルー』(2024年)などがあり、いずれも人物の内面に深く踏み込む静かな人間ドラマが中心となっています。派手なアクションや過剰な演出よりも、感情の揺らぎや社会との距離感を丁寧に描く役柄が多く、観る者に余韻を残す演技が印象的です。
『罪の声』では、過去の未解決事件に関わる音声テープをきっかけに、自らの家族の記憶と向き合う青年を演じています。物語は実在の事件をモチーフにしており、社会の闇と個人の葛藤が交錯する中で、高良の演技は静かな緊張感を保ちながら、人物の複雑な心情を浮かび上がらせています。
『あのこは貴族』では、代々政治家を輩出する名家の子息・幸一郎役を務めています。東京の階級社会を背景に、用意された人生に疑問を抱く青年として登場し、表面的には穏やかで礼儀正しいながらも、内側に揺らぎを抱えた人物像を繊細に表現しています。婚約者との関係や、異なる価値観を持つ女性との出会いを通じて、彼の立場や感情が少しずつ変化していく様子が描かれています。
『レイニーブルー』では、都市の片隅で孤独に生きる青年を演じています。セリフは少なく、表情や動作で語る場面が多い中、雨音や街のざわめきに溶け込むような存在感が印象的です。日常の中にある静かな痛みや、誰にも言えない思いを抱えながら生きる人物として、観客の記憶に残る演技を見せています。
これらの作品に共通するのは、社会的なテーマを背景にしながらも、人物の内面に焦点を当てている点です。高良健吾は、感情を大きく揺らすのではなく、抑えた表現の中に深さを持たせる演技を得意としており、近年の出演作でもその持ち味が際立っています。物語の中心に立つこともあれば、静かに周囲を支える役柄もあり、作品ごとに異なる立ち位置で存在感を示しています。
実演販売員役で見せた演技の幅

『海辺へ行く道』で高良健吾が演じるのは、包丁を売り歩く実演販売員・高岡という人物です。街に現れた彼は、関西弁を交えながら巧みに商品を紹介し、住民たちに語りかけます。これまでの高良の演技に多かった静かな役柄とは異なり、言葉を駆使して場を動かす役割を担っており、声の抑揚やテンポの変化が印象的です。
高岡は、街の奥様方に向けて包丁の切れ味を実演しながら販売を行いますが、その商品はすぐに切れ味が落ちる粗悪品で、騒ぎになる前に街を離れようとするという設定です。この役柄には、巧妙さと胡散臭さが同居しており、高良健吾はその微妙なバランスを保ちながら演じています。セリフの言い回しや表情の切り替えに細かな工夫が見られ、観客に「この人物は何者なのか」という疑問を自然に抱かせる演技となっています。
また、演技の中にはアドリブが取り入れられており、現場で生まれた言葉や動きがそのまま採用されている場面もあります。高良は、監督から「エセ関西弁でいい」と言われたことをきっかけに、あえて不自然さを残した話し方を選び、人物の背景にある曖昧さや得体の知れなさを表現しています。これにより、観客は高岡という人物に対して、単なる詐欺師とも言い切れない複雑な印象を抱くことになります。
演技の幅という点では、声の使い方だけでなく、立ち居振る舞いや視線の動きにも注目が集まります。商品を手に取る仕草や、相手の反応を見ながら言葉を選ぶ様子には、実演販売員としての説得力と、どこか演技がかっているような不自然さが同時に存在しています。高良健吾は、こうした二重性を意識的に取り入れることで、物語の中で高岡という人物が果たす役割を立体的に描いています。
この役柄は、観客との距離を縮めるための演技が求められる一方で、人物の本質を明かしすぎない抑制も必要とされます。高良健吾は、その両面を丁寧に演じ分けることで、これまでの作品とは異なる新たな表現領域に踏み込んでいます。
映画『レイニーブルー』の公開状況
『レイニーブルー』は、2024年に撮影され、2025年に全国各地で順次公開された青春群像劇です。監督・脚本・主演を務めた柳明日菜が高校在学中に制作した作品で、熊本県玉名市を舞台に、17歳の少女が抱える不安や葛藤を繊細に描いています。高良健吾は、主人公の周囲に現れる青年役として出演しており、物語に静かな深みを与える存在として登場しています。
劇中では、徳永英明の楽曲「レイニーブルー」が印象的に挿入され、登場人物たちの揺れる感情を静かに支えています。高良の演技は、言葉数の少ない役柄ながら、視線や佇まいに感情の余韻を残す表現が際立っており、観客の記憶に残る仕上がりとなっています。
公開は熊本のDenkikanでの先行上映を皮切りに、東京・アップリンク吉祥寺、京都・アップリンク京都、広島・シネマ尾道、福島・湯本駅前ミニシアターkuramotoなど、全国のミニシアターを中心に展開されました。上映期間中には舞台挨拶も複数回行われ、柳監督や高良健吾、笠兼三らが登壇し、作品への思いや撮影時のエピソードを語っています。
また、国内外の映画祭でも注目を集めており、大阪アジアン映画祭やソウル国際女性映画祭などに正式招待されています。特にソウルでは、日本作品として唯一の長編競争部門「ディスカバリー」に選ばれ、国際的な評価を受ける機会となりました。
作品の反響を受けて、各地で再上映の動きも見られ、若い世代を中心に静かな支持が広がっています。映像の美しさと、登場人物たちの不器用ながらも真摯な姿が共鳴し、観る者の心に静かに残る作品として語られています。
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高良健吾のプロフィールと活動履歴
熊本県出身から俳優になるまで

高良健吾は1987年に熊本県熊本市中央区で生まれ、転勤の多い家庭環境の中で幼少期を福岡県で過ごした後、中学2年の時に再び熊本市へ戻っています。地元の熊本市立江南中学校を経て、九州学院高等学校に進学しました。高校時代はソフトテニス部に所属し、友人も多く、人懐っこい性格で周囲から親しまれていたとされています。
芸能界との接点が生まれたのは、高校1年の頃に地元のタウン情報誌『タウン情報クマモト』の編集者にスカウトされたことがきっかけです。編集部ではスタッフ兼モデルとして活動しながら、俳優への興味を深めていきました。その思いを知った副編集長が東京の芸能事務所を紹介し、高校2年の時に芸能界入りを果たしています。
俳優としてのデビューは2005年、ドラマ『ごくせん 第2シリーズ』での不良生徒役でした。主要キャストではなかったものの、現場での経験がその後の活動の土台となりました。翌年には映画『ハリヨの夏』でスクリーンデビューを果たし、2008年には『蛇にピアス』で全身刺青の青年役に挑戦。特殊メイクを施した大胆な役柄で注目を集め、俳優としての存在感を一気に高めました。
地方出身ながら、地元での活動を通じて芸能界への道を切り開いた高良健吾は、早い段階から演技に対する真摯な姿勢を見せており、派手なスタートではなく、着実にキャリアを積み重ねてきた点が特徴です。熊本市の「わくわく親善大使」としても活動しており、故郷とのつながりを大切にしながら、俳優としての歩みを続けています。
初出演ドラマ『ごくせん』の背景
高良健吾が俳優として初めて出演したテレビドラマは、2005年に放送された『ごくせん』第2シリーズです。この作品は、仲間由紀恵が演じる熱血教師・山口久美子(通称ヤンクミ)が、問題児ばかりの高校生たちと向き合いながら成長していく学園ドラマで、シリーズを通して高視聴率を記録した人気作です。
第2シリーズでは、亀梨和也や赤西仁をはじめとする若手俳優が多数出演しており、高良健吾は「船木健吾」役として3年D組の生徒の一人を演じています。役名に自身の名前が使われている点も印象的で、当時はまだ無名ながら、画面の中で自然な存在感を放っていました。
この時期の高良は、地元・熊本から上京して間もない頃で、現場では緊張しながらも真摯に演技に向き合っていたとされています。『ごくせん』は、若手俳優の登竜門とも言える作品であり、多くの出演者がこのドラマをきっかけに映画やドラマでの活躍の場を広げています。高良健吾もその一人であり、以降の映画出演へとつながる重要なステップとなりました。
『ごくせん』での経験は、高良にとって俳優としての基礎を築く貴重な時間であり、現場での空気や共演者とのやり取りを通じて、演技の面白さや奥深さを実感する機会となったようです。その後のキャリアにおいても、派手さよりも人物の内面に迫る演技を大切にする姿勢は、この初期の経験に根ざしていると考えられます。
映画『蛇にピアス』での注目度

2008年に公開された映画『蛇にピアス』は、芥川賞受賞作を原作とした衝撃的な青春ドラマであり、高良健吾が広く注目を集めるきっかけとなった作品です。彼が演じたのは、スプリットタン(舌が二股に割れた状態)を持ち、全身にピアスと刺青を施した青年・アマという役柄です。主人公ルイと出会い、彼女の価値観や生き方に大きな影響を与える存在として描かれています。
アマは、見た目のインパクトだけでなく、内面に孤独や暴力性を抱えた複雑な人物です。高良健吾はこの役を通じて、身体的な表現と心理的な揺らぎの両面を繊細に演じ分けています。赤いモヒカン、龍の刺青、舌のピアスなど、外見の強烈さに負けない存在感を持ちながら、言葉少なに感情を滲ませる演技が印象的です。
物語の中でアマは、主人公ルイと深い関係を築きながらも、暴力事件を起こし、やがて悲劇的な結末を迎えます。その過程で、高良健吾は怒りや苦悩、愛情といった感情を抑制されたトーンで表現し、観客に余韻を残す演技を見せています。特に、ルイとの静かな会話や、感情が爆発する直前の沈黙には、人物の背景や心情がにじみ出ており、俳優としての表現力が際立っています。
この作品はR-15指定を受けるほど過激な描写を含んでいますが、高良健吾の演技はその中でも品位を保ち、物語の核となる人間関係の深さを支えています。公開当時は、吉高由里子の初主演作としても話題を集めましたが、高良の演技に対する評価も高く、以降の映画出演への道を大きく開く転機となりました。
『蛇にピアス』は、若者の痛みや孤独、自己破壊的な衝動を描いた作品であり、高良健吾はその世界観の中で、静かに強い印象を残す演技を披露しています。俳優としての存在感を確立するうえで、重要な一作となったことは間違いありません。
NHK朝ドラ『べっぴんさん』での役柄
高良健吾は、2016年から放送されたNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で、ヒロイン・坂東すみれの夫となる坂東紀夫役を演じています。物語は戦後の神戸を舞台に、子ども服メーカー「キアリス」の創業と成長を描いたもので、紀夫はその過程で妻すみれを支える存在として登場します。
紀夫は、戦争から帰還した後、すみれと娘のさくらと再会し、家族としての再出発を図ります。彼の人物像は、控えめで誠実、そして家族や仲間を思いやる穏やかな性格が特徴です。物語の中では、すみれの裁縫への情熱や事業への挑戦を理解し、時に距離を置きながらも見守る姿勢を貫いています。感情を大きく表に出すことは少なく、静かな言葉と行動で関係性を築いていく様子が描かれています。
高良健吾の演技は、そうした紀夫の内面を丁寧に表現しており、視聴者からは「落ち着いた存在感」「すみれとの空気感が心地よい」といった声が寄せられました。朝ドラという全国放送の枠で、日常の中にある夫婦のすれ違いや絆を描く役柄を演じたことで、高良の認知度は一気に広がり、幅広い世代から支持を得るきっかけとなりました。
また、紀夫はすみれたちが立ち上げた「キアリス」の経営にも関わるようになり、会社の成長とともに自身も変化していきます。戦後の混乱期から高度経済成長期へと移り変わる時代の中で、家庭と仕事の両面に向き合う姿は、現代にも通じるテーマとして共感を呼びました。
『べっぴんさん』は、女性たちの奮闘を中心に描かれた作品ですが、紀夫のような男性キャラクターが物語に深みを与え、家族の在り方や支え合う関係性を静かに浮かび上がらせています。高良健吾はその中で、派手さを抑えた演技で人物の誠実さを伝え、作品全体の空気感を支える重要な役割を果たしています。
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受賞歴とその評価ポイント

高良健吾は、2006年の映画デビュー以降、幅広い役柄に挑戦し続けてきた俳優です。その演技力は早くから注目されており、2012年には映画『軽蔑』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。この作品では、破滅的な若者を演じ、感情の揺らぎを抑えながらも人物の内面を丁寧に描き出す演技が評価されました。
翌年には映画『苦役列車』で第36回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。社会の底辺で生きる青年たちの姿を描いたこの作品では、主人公の友人役として登場し、陰のある人物像を繊細に表現しています。さらに、2014年には映画『横道世之介』で第56回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞。お人好しで周囲の人々を自然と惹きつける青年を演じ、明るさと深みを併せ持つ演技が高く評価されました。
2015年には『悼む人』『きみはいい子』で第28回日刊スポーツ映画大賞主演男優賞を受賞。いずれも人間の孤独や再生をテーマにした作品であり、高良健吾は派手な演出に頼らず、静かな語り口と表情の変化で人物の感情を丁寧に描いています。こうした演技スタイルは、観客に余韻を残すと同時に、作品全体の空気感を支える力となっています。
また、東京国際映画祭や高崎映画祭、日本映画プロフェッショナル大賞などでも複数の賞を受賞しており、若手実力派としての地位を確立しています。特定のジャンルに偏ることなく、好青年から狂気を秘めた人物まで幅広く演じ分ける柔軟さが、受賞理由のひとつとなっています。
俳優としての評価は、演技の技術だけでなく、作品への向き合い方や現場での姿勢にも表れており、年齢を重ねるごとにその存在感は増しています。高良健吾は、感情を抑えた演技の中に深い人間性を滲ませる表現力で、映画界において確かな足跡を残し続けています。
地元・熊本市との関わり
高良健吾は熊本市出身の俳優として、故郷とのつながりを大切にしながら活動を続けています。特に2016年の熊本地震の際には、いち早く被災地に入り、熊本市内の避難所で給水支援のボランティアを行うなど、現地での支援活動に直接関わっています。被災地の状況を目の当たりにした高良は、変わり果てた熊本城や阿蘇大橋の姿に言葉を失いながらも、長期的な支援の必要性を強く感じていることを語っています。
地震発生直後には、自身のブログを1年9ヶ月ぶりに更新し、熊本の人々への思いを綴っています。交通網が寸断される中、すぐに動けないことへのもどかしさを抱えながらも、「できることはすべてやりたい」と支援への意志を示しています。その後も、チャリティー上映会や復興イベントに参加し、熊本の風景や人々の記憶を映像として残す活動にも協力しています。
短編映画『うつくしいひと』のチャリティー上映会では、熊本出身の行定勲監督や橋本愛とともに登壇し、故郷への思いを語る場面もありました。この作品には、地震前の熊本の美しい風景が収められており、観客にとっても記憶をたどるきっかけとなっています。高良は、熊本城の復旧に20年かかるとされる中で、「それくらい長いスパンで支援していきたい」と語り、単発の支援ではなく、継続的な関わりを重視する姿勢を見せています。
芸能活動を通じて全国的な知名度を得た今も、熊本市との距離を縮めるような活動を続けており、地元メディアへの出演や地域イベントへの参加を通じて、故郷への感謝と責任を形にしています。高良健吾にとって熊本は、育ててもらった場所であり、心の根っこにある特別な存在として、今も変わらず大切にされているようです。
SNSやメディアでの発信状況

高良健吾は、俳優としての活動においてSNSを利用していません。InstagramやX(旧Twitter)などの公式アカウントは開設しておらず、出演情報やコメントは所属事務所を通じて発信されています。このスタイルは、過度な露出を避けながらも、必要な情報を丁寧に届けるという彼の姿勢を反映しています。
メディア出演においても、高良健吾は作品に対する真摯な向き合い方が印象的です。映画やドラマの公開に合わせてインタビューや舞台挨拶に登壇する際には、役柄への理解や撮影時のエピソードを静かに語り、作品の世界観を壊さないよう配慮した発言が目立ちます。言葉選びにも慎重で、感情を煽るような表現は避け、観客や視聴者に委ねる余白を残す話し方が特徴です。
また、テレビ番組への出演も限定的で、バラエティ番組などへの登場はほとんどありません。出演する場合も、作品のプロモーションを目的としたものが中心で、俳優としての立場を崩さずに登場しています。こうした姿勢は、俳優としての活動に軸足を置き、表現者としての信頼を築いてきた高良健吾らしい選択といえます。
一方で、映画の公式SNSや配給会社のアカウントでは、高良健吾のコメント動画や撮影風景が紹介されることもあり、ファンはそうした場面を通じて彼の言葉や表情に触れる機会を得ています。本人が直接発信することはなくとも、作品を通じて伝えたいことがしっかりと届くように工夫されている点が印象的です。
高良健吾の発信スタイルは、情報過多な時代において、静かで誠実な存在感を保ち続ける一つの在り方として、多くの支持を集めています。
高良健吾の演技と人物像を通して見える現在地
- 映画『海辺へ行く道』で実演販売員役を演じている
- ベルリン映画祭でスペシャルメンションを受賞している
- 横浜聡子監督との再タッグで独特の空気感を創出している
- 舞台挨拶では共演者との温かな交流が見られた
- 近年は静かな人間ドラマへの出演が増えている
- 商品販売を通じて観客との距離を縮める演技を見せた
- 実演販売員役ではアドリブを交えた表現が採用された
- 映画『レイニーブルー』は全国のミニシアターで公開された
- 若手監督との共演で新たな表現領域に踏み込んでいる
- 熊本市出身で地元メディアや復興支援にも関わっている
- 熊本地震後は現地で給水ボランティアを行っている
- SNSは使用せず事務所経由で情報発信を行っている
- メディア出演では作品への誠実な姿勢が印象的である
- NHK朝ドラ『べっぴんさん』で全国的な認知度を得た
- 日本アカデミー賞など複数の映画賞を受賞している
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