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水谷さるころって何者?旅も結婚も育児も!人生エッセイが面白すぎる

芸能
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漫画家・イラストレーターとして活躍する水谷さるころは、旅、結婚、育児、医療体験など、自身の人生を題材にしたコミックエッセイで多くの読者の共感を集めています。

女子美術短大で情報デザインを学び、1999年に漫画家デビュー。その後はテレビ番組出演や音楽活動、書籍の装丁まで手がけるなど、表現の幅を広げてきました。彼女の作品には、制度や社会の枠組みに対する疑問と、個人の選択を尊重する視点が貫かれています。

ポップな画風と親しみやすい語り口で、読者との距離を縮めながら、日常の中にある気づきを描いています。どんなテーマでも自分の言葉で描き切る水谷さるころの魅力を、もっと深く知っていきましょう。

【この記事のポイント】

  • 水谷さるころの経歴とマルチな創作活動
  • 実体験をもとにした代表作のテーマと内容
  • 結婚・育児・医療など社会的テーマへの向き合い方
  • 読者との距離感を意識した語り口と画風の特徴


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水谷さるころって何者?経歴と活動領域

千葉県出身で女子美術短大卒業

水谷さるころは1976年生まれで、千葉県柏市の出身です。幼少期から絵を描くことに親しみ、進学先として女子美術大学付属高等学校を選び、その後、女子美術大学短期大学部情報デザイン学科を卒業しています。短大在学中からインディーズ系の雑誌で編集やデザインの仕事に関わり、卒業後はフリーランスのクリエイターとして活動を始めました。

美術教育を受けた背景が、彼女の作品における構成力や色使い、視覚的な工夫に表れています。漫画だけでなく、イラストやグラフィックデザイン、キャラクターデザインなど幅広い分野で活動しており、特にポップで親しみやすい画風が印象的です。自身の著作では装丁も手がけており、作品全体の統一感を大切にする姿勢が見られます。

こうした経歴から、単なる漫画家という枠にとどまらず、視覚表現を軸にしたマルチな創作活動を展開している人物であることがわかります。美術教育と現場経験を融合させたスタイルは、読者にとっても親しみやすく、かつ印象に残る作品づくりにつながっています。

漫画家デビューは1999年の『COMIC CUE』

水谷さるころは1999年、イースト・プレスが刊行した漫画雑誌『COMIC CUE』に掲載された作品『うっかり!エッグゲッターズ!!』で漫画家としてのキャリアをスタートさせています。この作品は、CGを活用したポップな画風とSF的な要素を取り入れた内容で、当時のインディーズ漫画誌の中でも個性的な存在感を放っていました。

デビュー後は、ストーリーマンガだけでなく、自身の体験をもとにしたエッセイ漫画を中心に活動の幅を広げています。旅の記録、結婚や育児、医療体験など、日常の中で感じたことを率直に描くスタイルが特徴です。読者に語りかけるような語り口と、親しみやすいキャラクター表現が、作品の魅力を支えています。

また、漫画以外にもイラストやキャラクターデザイン、書籍の装丁などを手がけるなど、視覚表現を軸にしたマルチな創作活動を展開しています。デビューから現在に至るまで、ジャンルにとらわれない柔軟な表現力と、生活に根ざしたテーマ選びが一貫して見られます。

旅番組出演から世界一周マンガ化

水谷さるころは、旅チャンネルの番組「行くぞ!30日間世界一周」に出演し、実際に30日間で世界を巡るロケに参加しています。この体験をもとに描かれたのが、オールカラーのコミックエッセイ『30日間世界一周!』シリーズです。番組では、女性1人と男性スタッフ2人による3人組で、計画性のないまま勢いで旅を始めるという設定のもと、各地で起こるトラブルや出会いをリアルに記録しています。

漫画では、旅先での文化の違いや予想外の出来事をユーモアを交えて描いており、読者が旅の臨場感を味わえる構成となっています。移動の過酷さや食事の失敗、現地の人々との交流など、旅の「あるある」が詰まっており、単なる観光記録ではなく、旅の裏側にある人間模様が浮かび上がります。

シリーズは『30日間世界一周!』『35日間世界一周!!』『世界ボンクラ2人旅!』など複数刊行されており、いずれも実体験をベースにした内容です。特に「ぼんくら隊」と呼ばれる旅仲間との掛け合いが印象的で、読者にとっても親しみやすいキャラクターとして定着しています。

また、作品内には旅のコツや準備に関するコラムも盛り込まれており、実用的な情報も含まれています。旅の楽しさだけでなく、計画の重要性や現地での対応力など、旅にまつわる現実的な視点が描かれている点も特徴です。

結婚・離婚・事実婚を描いた著作も

水谷さるころは、自身の結婚・離婚・事実婚という人生の転機をテーマにしたコミックエッセイ『結婚さえできればいいと思っていたけど』を発表しています。この作品では、30歳までに結婚したいという焦りから始まった結婚生活が、理想とは異なる現実に直面し、離婚に至るまでの過程が描かれています。

結婚後の生活に違和感を覚え、相手との価値観のズレに気づいたことをきっかけに、離婚を決断するまでの心の動きが丁寧に綴られています。離婚後は、自分自身の人生を見つめ直す時間を経て、子どもがいる男性との事実婚という新たな形を選択しています。法律婚ではなく、互いの意思を尊重した関係性を築くことを選んだ理由や、その中での家族のあり方についても率直に語られています。

この作品は、結婚制度に対する疑問や、幸せのかたちが一つではないことを伝える内容となっており、読者にとっても共感や気づきを与えるものです。特に、結婚に対して漠然とした不安やプレッシャーを感じている人にとって、制度に縛られない選択肢があることを知るきっかけになります。

また、続編的な位置づけとして『目指せ!夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』などの作品もあり、事実婚の中での育児や家事分担についても描かれています。これらの作品を通じて、家族のかたちや夫婦の協力関係について、実体験に基づいた視点が提示されています。

骨髄ドナー体験をコミック化

水谷さるころは、自身が骨髄バンクを通じてドナーとなった体験をもとに、コミックエッセイ『骨髄ドナーやりました!』を発表しています。この作品は、日本骨髄バンクの監修を受けて制作されており、骨髄提供の流れや制度の仕組み、提供者としての心理的な葛藤や準備の過程を、実体験に基づいて描いています。

物語は、献血をきっかけに骨髄バンクに登録したことから始まり、ある日突然届いたマッチング通知によって、ドナーとしてのプロセスが動き出します。検査や家族の同意、入院準備、そして実際の骨髄採取に至るまでの一連の流れが、ユーモアを交えながらも丁寧に描かれています。

作品の中では、手術に対する不安や、家族とのやりとり、仕事や育児との両立といった現実的な問題にも触れられており、ドナーになることの重みと責任が伝わってきます。一方で、医療スタッフの支えや、制度の整備状況など、安心して提供に臨める環境があることも示されています。

全体を通して、骨髄提供というテーマを堅苦しくなく、日常の延長として捉えられるような構成となっており、読者が制度への理解を深めるきっかけにもなっています。医療的な知識がなくても読み進められる工夫が随所にあり、関心を持つ人にとって実用的な情報源にもなり得る内容です。

空手弐段、古墳好きなど個性が際立つ

水谷さるころは、漫画家・イラストレーターとしての活動に加えて、空手と古墳というユニークな趣味を持っています。空手は弐段の資格を有しており、日常的に稽古を続けている様子がSNSやエッセイでもたびたび紹介されています。身体を動かすことへの関心が高く、精神的な鍛錬としても空手を大切にしている姿勢がうかがえます。

一方、古墳巡りは家族ぐるみの趣味として定着しており、全国各地の古墳を訪れる旅の記録をブログや漫画で発信しています。奈良県の箸墓古墳や福島県の大安場古墳など、著名な古墳だけでなく、地域に根ざした史跡にも足を運び、その魅力を紹介しています。古墳にまつわるイベントにも積極的に参加しており、古墳グッズの制作や販売も行っています。

こうした趣味は、作品にも自然に反映されています。例えば『東京ゆるゆる古墳ハント』では、古墳をテーマにした散策記が漫画として描かれており、歴史への興味と日常の視点が融合した内容となっています。空手や古墳といった一見異なる要素が、彼女の創作活動においては独自の視点を生み出す源となっており、読者にとっても新鮮な切り口として受け止められています。

音楽活動も展開しアルバムを発表

水谷さるころは、漫画やイラストの分野にとどまらず、音楽活動にも積極的に取り組んでいます。音楽ユニット「Salta AL(サルタ・エアライン)」として、2012年にアルバム『Around the World!!』を発表しています。このユニットは、旅番組『行くぞ!30日間世界一周』のエンディングテーマ「変なフライト」の制作をきっかけに結成されたもので、番組出演者である水谷さるころ自身がボーカルを担当しています。

アルバムには、旅をテーマにした楽曲が収録されており、ポップで軽快なサウンドが特徴です。作詞・作曲・編曲は「ミックスナッツハウス」の林漁太が手がけており、曽我部恵一によるマスタリングによって、音の質感にもこだわりが見られます。水谷さるころの伸びやかな声と、旅の記憶を反映した歌詞が融合し、聴く人に旅の情景を思い起こさせるような仕上がりとなっています。

ライブ活動も行っており、イベント出演やトークショーの中で楽曲を披露することもあります。漫画とは異なる表現手段を通じて、自身の体験や感情を音楽として届ける姿勢は、創作の幅を広げるものとなっています。視覚と聴覚の両面から作品世界を構築することで、より立体的な表現が可能になっている点も注目されます。

自著の装丁も手がけるマルチクリエイター

水谷さるころは、漫画やエッセイの執筆だけでなく、書籍の装丁やデザインにも自ら関わるクリエイターです。視覚的な構成力に優れ、作品全体の印象を統一するために、カバーイラストやレイアウトまで手がけることがあります。特に教育参考書シリーズ『宇宙一わかりやすい』では、改訂版の装丁において全巻のカバーイラストを描き下ろしており、シリーズ全体の世界観を視覚的に整えています。

こうした装丁作業は、単なるイラスト制作にとどまらず、読者が手に取ったときの印象や、内容への導入としての役割も担っています。色使いやフォント選び、構図のバランスなど、細部にまで配慮が行き届いており、書籍としての完成度を高める要素となっています。

また、装丁に関わることで、著者としての意図やメッセージをより明確に伝えることが可能になります。漫画やエッセイの内容とビジュアルが連動することで、読者にとっても理解しやすく、記憶に残る作品となるのです。視覚と文章の両面から作品を構築するスタイルは、水谷さるころの創作活動における大きな特徴のひとつです。

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水谷さるころって何者?代表作とテーマ性

『30日間世界一周!』シリーズの背景

『30日間世界一周!』は、水谷さるころが出演した旅番組「行くぞ!30日間世界一周」のロケ体験をもとに描かれたコミックエッセイです。番組では、女性1人と男性スタッフ2人の計3人で、ノープランのまま30日間で世界を一周するという無謀ともいえる旅に挑戦しています。この実体験をもとに、全編フルカラーで描かれたのが本シリーズです。

旅のスタイルは、事前の計画をほとんど立てず、現地での判断に任せるというもの。そのため、移動のトラブルや宿泊先の確保、食事の失敗など、さまざまなハプニングが次々と起こります。そうした出来事を、ユーモアを交えて描くことで、読者はまるで一緒に旅をしているかのような臨場感を味わうことができます。

登場人物は「ぼんくら隊」と呼ばれる3人組で、水谷さるころ自身がその一員として登場します。旅の中で見た景色や出会った人々、文化の違いに戸惑いながらも、少しずつ旅の楽しさや奥深さを実感していく様子が描かれています。特に、厄年を迎えた主人公が「厄落とし」として旅に出るという設定が、物語にユニークな動機づけを与えています。

シリーズは『30日間世界一周!』を皮切りに、『35日間世界一周!!』『世界ボンクラ2人旅!』などへと続き、旅のテーマや訪問先を変えながら展開されています。各巻には、旅の実用的なコラムや豆知識も盛り込まれており、読み物としての楽しさと情報性を兼ね備えています。

限られた時間の中で世界を巡るという無茶な企画を、笑いと共感を交えて描いたこのシリーズは、旅の魅力だけでなく、計画性の大切さや人との関わりの面白さも伝えてくれる作品です。

『結婚さえできればいいと思っていたけど』の内容

『結婚さえできればいいと思っていたけど』は、水谷さるころが自身の結婚・離婚・事実婚という一連の経験をもとに描いたコミックエッセイです。作品は、30歳までに結婚したいという焦りから始まった「駆け込み婚」からスタートします。理想の結婚生活を夢見ていたものの、現実は期待とは異なり、夫婦間の価値観の違いや生活のズレに直面することになります。

結婚生活の中で、相手との関係性に疑問を抱き始め、やがて離婚を決断するまでの過程が率直に描かれています。離婚後は、自分自身の人生を見つめ直す時間を経て、子どもがいる男性との事実婚という新たな形を選択します。法律婚ではなく、互いの意思を尊重した関係性を築くことを選んだ理由や、その中での家族のあり方についても丁寧に語られています。

この作品では、結婚制度に対する疑問や、幸せのかたちが一つではないことがテーマとなっています。社会的な枠組みの中で「結婚していないと不安」「妥協しないと結婚できないのでは」といった思いに揺れる女性の姿が描かれ、読者にとっても共感や気づきを与える内容です。

また、離婚後の反省や再構築の過程が描かれていることで、単なる恋愛や結婚の話ではなく、「自分らしく生きるとは何か」という問いかけが込められています。事実婚という選択を通じて、制度に縛られない家族のかたちを模索する姿勢が、現代的な視点として印象に残ります。

育児・夫婦関係を描くエッセイ作品群

水谷さるころは、育児や夫婦関係をテーマにしたコミックエッセイを複数発表しています。代表作のひとつ『目指せ!夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』では、事実婚のパートナーとの間に子どもが生まれた後の生活を描いています。産前産後の夫婦関係の変化や、家事・育児の分担をめぐる試行錯誤が、実体験に基づいて綴られています。

この作品では、夫婦がいがみ合わずに暮らすために決めた20のルールが紹介されており、「得意な方が担当する」「ポジティブな言葉を口にする」「お母さんも週1は夜の外出を」など、具体的で実践的な内容が盛り込まれています。初婚時に一人で抱え込みすぎて失敗した経験を踏まえ、再婚後はフェアな関係を築くことを目指している点が特徴です。

また、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している』では、夫婦間のコミュニケーションや衝突、改善の過程が描かれています。家事や育児の分担における「あるある」や、男女の考え方の違い、夫の感情の扱い方など、日常の中で起こる細かな問題に向き合う姿勢が印象的です。

さらに、『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』では、コロナ禍の密室育児の中で起きた夫の感情爆発と、それに対する家族の対応を描いています。カウンセリングを通じて夫が変化していく過程が描かれており、育児における心理的な負担や夫婦の協力の重要性が伝わってきます。

これらの作品群は、育児や夫婦関係に悩む読者にとって、共感と実用性の両面を備えた内容となっており、日常の中で生じる葛藤や喜びを、具体的なエピソードを通じて親しみやすく描いています。

骨髄バンク監修の体験記マンガ

『骨髄ドナーやりました!』は、水谷さるころが実際に骨髄バンクを通じてドナーとなった体験をもとに描いたコミックエッセイです。この作品は、日本骨髄バンクの監修を受けており、制度の仕組みや手続きの流れを、提供者の視点から具体的に紹介しています。

物語は、献血をきっかけに骨髄バンクに登録したことから始まります。ある日、マッチング通知が届き、そこから検査、家族の同意、入院準備、そして骨髄採取に至るまでの一連のプロセスが、実体験に基づいて描かれています。検査での緊張感や、家族との話し合い、仕事や育児との両立といった現実的な課題にも触れられており、提供者としての心理的な揺れや葛藤が丁寧に表現されています。

作品の中では、医療スタッフとのやりとりや、制度上のルール、提供後の体調変化なども描かれており、読者が骨髄提供の全体像を把握できる構成になっています。特に、提供を決断するまでの迷いや、周囲の理解を得るための工夫など、制度の外側にある人間関係の側面にも焦点が当てられています。

全体としては、制度の啓発を目的としながらも、堅苦しさを感じさせない語り口で、日常の延長として骨髄提供を捉えられるよう工夫されています。医療的な知識がなくても読み進められる構成で、骨髄バンクへの理解を深めたい人にとって、実用的かつ親しみやすい一冊です。

社会的テーマに向き合う作風

水谷さるころの作品には、結婚制度、医療提供、育児といった社会的なテーマが一貫して描かれています。これらは単なる情報提供ではなく、著者自身の体験を通じて制度や価値観に対する問いかけがなされており、読者にとっても身近な問題として受け止められる構成になっています。

結婚に関しては、30歳までに結婚したいという焦りから始まった初婚生活、離婚、そして事実婚という選択に至るまでの過程が複数の作品で描かれています。法律婚にこだわらず、互いの意思を尊重した関係性を築く姿勢は、現代の多様な家族観に通じるものがあります。制度に縛られない生き方を選ぶことで、個人の幸福を追求する姿勢が明確に示されています。

医療提供の分野では、骨髄バンクを通じてドナーとなった体験を描いた『骨髄ドナーやりました!』が代表的です。この作品では、提供者としての心理的な葛藤や、制度の手続き、医療スタッフとの関わりなどが具体的に描かれています。医療制度の理解を深めるだけでなく、提供者の立場から見た現実的な課題にも触れられており、制度の内側と外側の両面を捉えた内容となっています。

育児に関しては、『目指せ!夫婦ツーオペ育児』や『子どもにキレちゃう夫をなんとかしたい!』などの作品で、夫婦間の家事・育児分担や、感情のコントロール、子どもとの関係性が描かれています。特に、共働き家庭におけるフェアな分担の工夫や、夫婦間の信頼構築に向けた試行錯誤が、具体的なエピソードを通じて紹介されています。

これらの作品群に共通しているのは、制度や社会の枠組みに対して、個人の立場から疑問を投げかける姿勢です。水谷さるころは、自身の経験を通じて、読者に「こうでなければならない」という固定観念を問い直す視点を提供しています。その語り口は親しみやすく、同時に深い問題意識を含んでおり、社会的テーマに向き合う作風として確かな存在感を放っています。

キャラクター表現と画風の特徴

水谷さるころの作品に登場するキャラクターは、線の少ないシンプルな造形ながら、表情の変化が豊かで、感情の動きが直感的に伝わる構成となっています。特にエッセイ漫画では、作者自身をモデルにしたキャラクターが登場し、日常の出来事や心の動きを軽やかに描写しています。目や口の形、眉の角度などを細かく調整することで、驚きや戸惑い、喜びといった感情が一目で伝わるよう工夫されています。

画風はポップで親しみやすく、色使いも明るく柔らかい印象です。背景は必要最小限に抑えられ、キャラクターの動きや表情が際立つように設計されています。構図は読みやすさを重視しており、コマ割りもシンプルで視線の流れが自然に誘導されるようになっています。特にエッセイ形式の作品では、読者がストレスなく読み進められるよう、余白の使い方や文字の配置にも配慮が見られます。

また、作品によって描き分けもされており、旅や育児などテーマに応じてキャラクターの描写スタイルが変化します。旅行記ではデフォルメされたキャラクターが多く登場し、軽快なテンポで物語が進行します。一方、育児や夫婦関係を描く作品では、より人間らしい造形のキャラクターが用いられ、感情の細やかな描写に重点が置かれています。

こうした画風の特徴は、読者との距離感を縮める効果を持ち、内容の親しみやすさを高めています。視覚的な情報が整理されていることで、テーマの重さに関わらず、読者が自然に作品世界に入り込める構成となっています。

自身の経験を軸にした構成力

水谷さるころの作品は、ほとんどが自身の体験をもとに構成されています。旅、結婚、離婚、育児、医療体験など、日常の中で起きた出来事を題材にしながら、読者にとっても身近に感じられるテーマを選んでいます。こうした構成は、単なる記録や感想にとどまらず、体験を通じて得た気づきや考察を含んでいるため、リアリティと説得力が備わっています。

たとえば、世界一周の旅を描いたシリーズでは、実際に出演したテレビ番組のロケ体験をもとに、移動の苦労や現地でのトラブル、文化の違いに戸惑う様子が描かれています。読者は、旅の楽しさだけでなく、計画の甘さや体力的な限界といった現実にも触れることができ、物語に深みが生まれています。

また、結婚や離婚、事実婚といった人生の転機を描いた作品では、制度や社会的な価値観に対する疑問を、自身の選択を通じて表現しています。感情の揺れや葛藤を隠さず描くことで、読者は「自分にも起こりうること」として共感しやすくなっています。

育児や夫婦関係を扱ったエッセイでは、日常の中で起きる小さな衝突やすれ違いを、具体的なエピソードを交えて紹介しています。特に、夫婦間の家事分担や子どもとの接し方など、読者が直面しやすいテーマを扱っているため、実用的なヒントとしても受け取られています。

こうした作品群に共通しているのは、体験をそのまま描くのではなく、そこから何を感じ、どう考えたかを丁寧に整理して伝えている点です。構成には起承転結があり、読者が自然に感情移入できるよう工夫されています。結果として、読み手との距離感が近く、親しみやすい語り口と相まって、作品全体に温かみと信頼感が生まれています。

読者との距離感を意識した語り口

水谷さるころの作品に共通して見られるのは、読者に語りかけるような親しみやすい語り口です。文章やセリフは、まるで日常会話のようなテンポとリズムで構成されており、読者が自然にページをめくりたくなるような流れが作られています。難しい言葉や専門用語を避け、体験を通じて伝えたいことをじっくりと描いていくスタイルが特徴です。

特にエッセイ漫画では、自身の感情や考えを率直に表現しながらも、押しつけがましさを感じさせないバランスが保たれています。たとえば、結婚や育児、医療体験といったテーマでは、自分の失敗や迷いを隠さず描くことで、読者が「わかる」と感じられる距離感が生まれています。こうした語り方は、読者に安心感を与え、作品の中に自分自身を重ねやすくしています。

また、登場人物のセリフやモノローグには、感情の揺れやちょっとした気づきが丁寧に織り込まれており、説明的になりすぎることなく、体験を通じて自然に情報が伝わる構成になっています。たとえば、骨髄ドナー体験を描いた作品では、制度の説明を長々とするのではなく、実際に経験した場面の中で必要な情報がさりげなく提示されており、読者が無理なく理解できるよう工夫されています。

さらに、読者との距離感を縮める要素として、キャラクターの表情やリアクションも重要な役割を果たしています。驚きや戸惑い、喜びといった感情が視覚的に伝わることで、文章だけでは伝えきれないニュアンスが補完され、読者との一体感が生まれています。

このように、水谷さるころの語り口は、読者との間に壁を作らず、あくまで同じ目線で語りかけるようなスタイルを貫いています。その結果、作品は情報性と共感性を兼ね備えたものとなり、多くの読者にとって「自分ごと」として受け止められる内容になっています。

水谷さるころとは何者?作品から見える人物像の整理

  • 千葉県出身で女子美術短期大学を卒業している
  • 1999年に『COMIC CUE』で漫画家デビューを果たしている
  • 世界一周の旅番組出演経験を漫画化している
  • 結婚と離婚を経て事実婚を選択している
  • 骨髄バンクを通じたドナー体験を作品化している
  • 空手弐段の資格を持ち古墳巡りを趣味としている
  • 音楽ユニットとしてアルバム制作とライブ活動も行っている
  • 書籍の装丁やデザインも自ら手がけている
  • 世界一周シリーズは実体験をもとに構成されている
  • 結婚制度への疑問と個人の選択を描いている
  • 育児や夫婦関係の実践的な工夫を作品に反映している
  • 骨髄提供の流れと心理的側面を漫画で紹介している
  • 社会制度への問いかけを体験を通じて表現している
  • キャラクターはシンプルで感情表現が豊かである
  • 読者に語りかけるような語り口で構成されている



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